基準値以上の放射性セシウムが検出された牛肉について
放射性セシウムを含む稲わらを食べていた肉牛が流通していた問題。
農林水産省の調査の結果、流通範囲、頭数ともに拡大の様相です。
新潟県や山形県の畜産農家からも出荷されていたことが判明し、汚染の疑いのある牛はこれまでの合計で648頭。(7月18日現在)
農林水産省、福島県は計画的非難区域内で飼育されていて、現在非難している9,300頭についても調査を進めることを決定しました。
今必要なことの一つは、少しでも可能性のあるルートについては、範囲を広げ、丁寧に調査を進めることです。
そして、「基準値以上の食べ物は流通しない」という国民からの信頼を得ることです。
このような状況では「福島産だから食べない」「東北産だから食べない」という感情は、当然と言えるのではないでしょうか。
もはや風評被害とは言えません。
もちろん、ルールを守り、まっとうな商売をしている畜産農家、流通業者、販売者、飲食店のみなさんには一切の落ち度はありません。
汚染された牛肉が流通したことについては、検査体制が不備であった国の責任です。
繰り返しになりますが、まっとうな商売をしている方、そして国民みんなが安心して食べ物を口にできるよう、「基準値以上の食物は流通しない」という検査体制を再構築しなければなりません。
そうでなければ、国民は政府の言葉を信用しないのではないでしょうか。
そして、もう一つ大事な事は、情報の公開です。
スーパーや飲食店では、該当の肉を販売したことについて、発表し謝罪し、お客様への対応を行っているお店もあります。
日々、大変なご苦労をされていることは想像に難くありません。
しかし一方で、お客様目線で考えれば当然のことのようにも思います。
自分は食べたのか、食べなかったのか。
子供に食べさせてしまったのか、そうでないのか。
知りたいのは当然です。
知りたくないという方もいるとすれば、個別の問い合わせへの対応でもよいかもしれません。
しかし、いずれにしても情報は明らかにしなければなりません。
そうすれば、不安を助長することなく、事実のみを知ることになります。
「関係なかった」と安心する方もたくさん出てくるでしょう。
たとえば「世田谷区の飲食店で提供された」という形の公表であれば、区内で飲食をした多くの方が不安を感じます。
これが「三軒茶屋の飲食店」となれば「自分は食べてない」という方は安心することになります。
もちろん、飲食店の方に罪はありません。
お店への対応、それこそ、お店への風評被害の防止は優先的に考えなければなりません。
そのうえで、食べてしまったという方については、基準値の考え方、どういった危険性があるのか、また無いのか、行政機関の担当所管の責任者など、しかるべき立場の人間から、丁寧に説明することが必要です。
例えば、赤ちゃんを母乳で育てているお母さんに、「ただちに健康に影響を及ぼす心配はない」と無味乾燥な言葉を発しても、安心なんて得られっこありません。
検査体制の確立、情報の公開、提供者への風評対策、消費者への丁寧な説明。
私はそれが不可欠だと思います。
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