生活保護は社会に必須のセーフティーネット。この制度の利用は憲法で保障されている国民の権利です。
世田谷区議会議員、桃野芳文です。
今朝の朝刊で報じられているニュース。厚労省が、生活保護申請時の「扶養照会」について弾力的に運用する通知を各自治体に出したとのこと。
【生活保護の親族照会「10年音信不通なら不要」 厚労省、自治体に通知】(産経新聞)
昨年からの新型コロナ禍で収入が激減し、経済的に苦しい生活を送っていらっしゃる方であっても、「扶養照会」を恐れ生活保護の申請をためらう方が多いのでは無いかとの声が上がっていました。
「生活保護を親族に知られたくない」…申請時の扶養照会見直し求め支援団体が厚労省に署名提出
東京新聞 TOKYO Web https://t.co/GtMh6LK08d
— 東京新聞編集局 (@tokyonewsroom) February 8, 2021
生活保護制度を所管するのは厚生労働省ですが、その実務の大部分を担うのは基礎自治体です。例えば、世田谷区民が、生活保護制度を利用しようとした場合は、先ずは世田谷区役所の支所(世田谷・北沢・玉川・砧・烏山)にある福祉事務所にご相談頂く事になります。
そして、生活保護制度を利用する前に、役所が行うのが扶養照会。生活保護の前に扶養が先にあるという事で、誰か家族や親族で面倒を見てくれる人がいるなら、生活保護ではなく、その人に面倒みてもらってくださいと、役所が家族、親族に連絡を入れる段取りのことです。
家族や親族に、自身の困窮した生活を知られたく無いとの理由で、生活保護申請をためらう人がいると、これまで指摘されてきました。そうした指摘が今回の厚労省の通知に繋がっています。
今回の通知では以下示されています。
・これまでは目安として20年間音信不通の親族には照会不要としていたが「10年程度」に改めた。
・生活保護制度で定められた額より高い家賃の住居に住む人でも、「自営業の収入が今後回復する見込みがある」などの要件を満たせば、転居せず保護を受けることができる。
・新型コロナウイルスの影響での一時的な収入減でも、制度を利用できるようにする。
・これまで「親族が高齢や未成年」「家庭内暴力(DV)があった」などの事情がある場合は照会しないと例示していたが、新たに「本人が親族に借金をしている」「相続をめぐり対立している」「縁が切られていて関係が著しく悪い」などの場合も照会不要と例示し、対応を明確化。
SNSを見ていると、この通知に関する報道後も「扶養照会の弾力的な運用ではなく、扶養照会の廃止を」との声も上がっていますが、先ずは一歩前進と考えて良いのでは無いでしょうか。桃野は、成人である本人が望まない扶養照会はやめるべきとの考えではありますが、今回の厚労省の通知は前向きに捉えています。
少なくとも今回、通知の中で例示されているケースに当てはまっている方は、扶養照会なく、生活保護を申請できる可能性が高いということは知っておくべき。
いずれにしても生活保護は、健全な社会に必須のセーフティーネット。さまざまな事情で生活に困っている方に対して、経済的に足りないところを補うことで生活を保障し、生活を手助けする制度です。そして、この制度の利用は憲法で保障されている国民の権利。
もしも経済的に困ってしまった場合は、何らためらうことなく、先ずは最寄りの自治体(区役所や市役所)にご相談ください。世田谷区の場合は以下が相談窓口です。
・世田谷総合支所 生活支援課(電話:03-5432-2841/ファックス:03-5432-3034)
・北沢総合支所 生活支援課(電話:03-6804-7770/ファックス: 03-6804-7994)
・玉川総合支所 生活支援課(電話:03-3702-1730/ファックス:03-3702-1520)
・砧総合支所 生活支援課(電話番号:03-3482-1343/ファックス:03-5490-1139)
・烏山総合支所 生活支援課(電話番号:03-3326-6111/ファックス:03-3326-6169)
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