世田谷区の「遊びと学びの教育基金」への寄付の呼びかけは適切だろうか。
世田谷区議会議員、桃野芳文です。
新型コロナウィルス感染症の対応として、世の中で「当たり前」になったことの一つに「オンラインでできることはオンラインで」という考え方がありますね。今朝は、こんなニュースもありました。
逮捕状や捜索令状の請求や発行 オンライン化を検討へ #nhk_news https://t.co/Po6qcoePiy
— NHKニュース (@nhk_news) July 14, 2020
警察が容疑者を逮捕する際や関係先を捜索する際には、原則として裁判所が出す令状が必要。警察庁と法務省が、その令状発行のための一連の手続きをオンライン化へと検討を始めるようです。厳格に(紙の)文書主義を維持し続ける役所でもこう言う動きが出て来るのは良いことではないでしょうか。
「オンラインでできることはオンラインで」は身近な生活の中でも進んでいますね。桃野が、民間企業に勤める友人知人と話していると「週○回のみオフィスに出勤している」とか「オフィスに通勤してくるのは通常時の50%までと部署内で調整している」などは、もう頻繁に聞く話。
そんな動きの中で、区民の皆さんから多く寄せられる声に「区立小中学校のICT(Information Communication Technology)環境を充実してほしい」があります。
・新型コロナに限らずインフルエンザなどの感染症が流行して学級閉鎖になった際でもオンライン授業を家庭で受けられるようにして欲しい。
・オンラインで繋がっていれば、何らかの理由で不登校となっている児童生徒へのアプローチが容易になる。
・平時であってもパソコンやタブレットを活用した授業はこれまで以上に教え方の広がりが期待できる。
などなど。
桃野もこれまで、区立小中学校でのICT技術を生かした授業については進めるべきとの趣旨で区側に働きかけてきました。文部科学省も「GIGAスクール構想」の実現に向けて動いており、児童生徒一人一台のパソコン配備と高速通信ネットワークの一体整備を目指しています。
世田谷区としても、そのような動きと符合して策を打ちたいということでしょうか。現在、こんな取り組みを進めています。
【教育内容の充実のために(世田谷遊びと学びの教育基金への寄附)】(世田谷区のサイト)
区では、国際感覚豊かで情報通信技術の進展に対応した創造性のある人材の育成を目指し、児童・生徒の海外教育交流派遣やICTを活用した学習支援、幼児教育プログラムの研究などに取り組んでいます。児童・生徒が経済的環境に関わらず様々な事業に参加できる環境の充実や多様な「遊びと学び」の研究及び実践に取り組むため、この「世田谷遊びと学びの教育基金」に皆さまからの寄附をお願いします。(引用以上)
上記の文章を読むと世田谷区は「ICTを活用した学習支援を進めるので、そのためのお金を区に寄付してください」と言っているように思いますよね。ところがこれについて世田谷区の教育総務課長に聞くと「実際には海外教育交流のための基金として扱っている」「ICT関連にも使える基金だが現時点では具体的に予定はない」とのこと。そういうことなら寄付を呼びかける文言が正確ではないのでは。「ICTを活用した学習支援」と記載して寄付を呼びかけるなら、そこへの活用を具体的に検討しないと。そしてコロナ禍では、海外教育交流も中断しているわけですから「今の課題」に焦点を合わせるという意味でも柔軟に使途を設定するべきです。
そしてもう一つ。篤志家の方々の中には「地元のために」という方が少なくないはず。地元の小中学校で使って欲しいというお気持ちで寄付をしたい方もいらっしゃるのでは。でもこれについて調べると現在の「世田谷遊びと学びの教育基金」では、学校を指定しての寄付はできないよう。区側に聞くと事務の煩雑さが理由とのことですが、これも寄付する側から見れば、ちょっと残念な話です。
先ずは基金の使徒を時の課題に合わせて柔軟に設定できるようにすること。さらに寄付される方の思いに合わせて学校単位で寄付ができるようにもしたい。こんなことができないか、仕組みを検討して区に提言したいと思います。
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