なぜ修学旅行の班分けは簡単に決まらないのか。そして「教員に求められる力とは」というお話
世田谷区議会議員、桃野芳文です。
今日は、地元の区立小学校へ。道徳授業地区公開講座へ参加してきました。
テーマはいじめの未然防止。
講師を務められたのは、かつて区立中学校の校長を務め、現在は帝京大学大学院教育研究科教授の建部豊先生と、弁護士の立場でいじめ問題に取り組んでこられた佐藤香代弁護士です。
あっという間に時間が過ぎてしまうほど、多くの気づきに満ちた講演でした。
以下、その中から特に桃野の心に残ったお話をご紹介します。
建部先生は、「教員が知らず知らずのうちに『いじめの温床』を作ってしまうことがある」と指摘されます。そして、ご自身の苦い体験談を明かしてくださいました。
それは、「いじめ」という言葉が少しずつ認知され始めたものの、まだ社会的な重要課題としては捉えられていなかった時代のこと。教員7年目だった建部先生は、仕事にも自信がつき、子どもたちとも上手く接していると感じていたそうです。
そんなある日、修学旅行の班分けで忘れられない出来事が起きます。
教員としては、全体のスケジュールを考え「今日この時間内に必ず班を決めたい」ところです。一方、子どもたちにとって修学旅行の班分けは大問題。自由時間が楽しいものになるか、気苦労の連続になるかが決まるため、強いプレッシャーを感じています。
若き建部先生は子どもたちに「自分たちで決める? それとも出席番号順にする?」と問いかけます。子どもたちが「自分たちで決めたい」と答えるのは織り込み済み。自らの力で班分けを完遂できるか見守ることにしました。
クラスの班は全部で6つ。
1班、2班は「一緒の班になろうね」と事前に約束していたであろうグループがすぐに決まります。そこから先は少し時間がかかったものの、話し合いを通じて3班、4班と決まっていきます。
しかし、問題は5班と6班でした。なかなか決まりません。 クラスには一人、集団生活に馴染みにくい子どもがいました。周囲には「その子が問題行動を起こすのではないか」と恐れ、同じ班になるのを避ける空気が流れていたのです。
先に決まった班の子どもたちから「早く決めろよ! このままだと出席番号順になっちゃうだろ!」と焦りの声が上がり始めます。
その時、建部先生はどうしたか。 先生自身も子どもたちと一緒にプレッシャーをかけてしまっていたというのです。
「あと〇分で決めなさい。さもないと出席番号順になるよ」
結局、終了間際の残り30秒でなんとか5班と6班が決定。建部先生は胸を撫でおろしました。子どもたちが自分たちで解決してくれた、スケジュール通りに進んでよかった――。「いいクラスだね」と子どもたちに声をかけ、安堵して教室を出ようとしたその時、ひとりの生徒が追いかけてきました。
最後に班が決まったグループの子でした。
「先生、本当にこのクラスが良いクラスだと思いますか?」 「うん、いいクラスだと思うよ」と答えた建部先生に、その子はこう言ったそうです。
「本当に良いクラスだと思いますか? クラスの問題を本気で考えたのは、5班と6班の人たちだけですよ。こんな思いをするくらいなら、最初から出席番号順の方がよかったです」
その言葉に、建部先生はハッとしたといいます。 「教員は、子ども一人ひとりの心理や葛藤をどこまで想像できているか」――それを痛感させられた出来事でした。
このお話を聞いて、桃野も考えさせられました。
自主性とはとても美しい言葉です。子ども達が自分で決めた。これは関わる大人にとって誇らしいことでしょう。その一方で、なぜ決まらないか。決めるために子ども達は何に苦しんでいるか。そこに気付き寄り添う力がなければ、大人がいじめの温床を作ることにもつながりかねません。
続いての佐藤香代弁護士のお話は次回ブログで。
(写真はイメージです)












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