いつもは保坂区長の政策に厳しい評価を与えている桃野ですが、今回ばかりは、あべ力也議員の振る舞いには”ドン引き”。区長に同情を寄せています。

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世田谷区議会議員、桃野芳文です。

本日のブログは予算特別委員会の質疑より。我が会派の大庭正明議員の質疑にて、区側ととても大事なやりとりがあったのでご報告します。

ことの発端は、あべ力也議員のレポートです。以下、区内各地でポスティングされたり、駅前であべ力也議員自身が配布しているもの。（以下はその一部、表紙部分の写真です）

その中で、以下の部分が本日の質疑のポイントです。

ここには、以下の文言が踊っています。

「またしても92万区民への裏切り」

「保坂区長がふるさと納税返礼品政策にNO！と言い続けた12年間で区税流出累計9,347億円」

「その結果、区民一人あたりの財政支出額は23区中22位と貧困な自治体に転落！？」

「バス路線は廃止、福祉は中途半端、道路はガタガタ、区民がそのツケを払うことに！」

引用以上。

これを見た多くの世田谷区議会議員は「9,347億円？？？」と訝しげに思ったことと思います。少なくとも桃野は「何？この数字？」と意味がわかりませんでした。

以下は区の広報誌「せたがや」の令和4年10月2日号です。まず、あべ力也議員が自分のレポートに、区の広報誌と似せた「せたがや」のヘッダーをつけていることがわかりますね。

そして、この区の広報誌の中には、区税流出額は、87億円/年にも達するという内容が出ています。世田谷区議会議員であればこの87億円という数字は、区の財政にとても大事な数字として、しっかり頭に入っているはず。

話は戻って、あべ力也議員のレポート。12年間の区税流出累計は9,347億円と言っているのですが、これはとても合点が行かない数字であるとわかります。仮に87億円×12年間でも1,044億円にしかなりません。

そこで、過去の区議会会議録を読み返してみると、あべ力也議員と区幹部の間でこんなやりとりがあったことがわかりました。以下、令和4年11月30日の本会議より。一部抜粋（会議録全文は区議会のサイトから確認できますのでご参照ください）。

◯あべ力也議員

この間、保坂区政になってから、令和四年の予測値も含めて、ふるさと納税で区民が他自治体へ寄附した額と財政影響額のそれぞれの積算額をお教えください。

●政策経営部長

保坂区長就任の平成二十三年度から今年度までの累計ですが、区民の自治体への寄附が九千三百四十七億円、それによる区の税収減に当たる控除額が三百六十三億円となっている状況にございます。

引用以上。

あー、そういうことかと。あべ力也議員は区側の答弁が理解できていなかったことがわかります。あべ力也議員がレポートに「9,347億」と書いているのは、区民の自治体への寄付の累計であって、区税流出累計ではありません。上記の答弁で言えば「区の税収減に当たる控除額」が「区税流出額」であり、正しくは区税流出額は363億円となります。

ちなみに本日の企画総務委員会で「区民の自治体への寄附が九千三百四十七億円」の部分の答弁が誤っていたことが明らかになりましたが、あべ力也議員の間違いとはまた別問題。あべ力也議員は「自分のレポートに引用すべき区側の答弁部分はどこか」がわかっていなかったということです。

それを示すように、本日、大庭正明議員があべ力也議員のレポートを引用しながら区側に「保坂区長がふるさと納税返礼品政策にNO！と言い続けた12年間で流出した区税累計額はいくらか」と問うた際に、副区長が明確に「約363億円です」と答えています。

あべ力也議員、保坂区政を批判するのはいいとしても、議会での質疑や答弁を正しく理解した上での言論が前提です。12年間で9,347億円の区税流出なんて、少し考えれば、そんなことはあり得ないとわかるはず。

保坂区長も選挙を控えたタイミングです。こんな区政レポートを街中にばら撒かれて、事実と異なる内容で大批判されるのは大変不本意ではないでしょうか。あべ力也議員に厳重に抗議して区政レポートの回収や、新たなレポートでの訂正、謝罪を求めないといけないのでは。

いつもは保坂区長の政策に厳しい評価を与えている桃野ですが、今回ばかりは、あべ力也議員の振る舞いには”ドン引き”。区長に同情を寄せています。

■大庭議員の質疑の動画はこちらからご覧ください。

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