弱視は早期発見、早期治療で治療可能なことがほとんど。我が会派の提言が実り、来年度から「3歳児健診での多角的屈折検査」が導入される見込みです。
世田谷区議会議員、桃野芳文です。
世田谷区では現在「令和4年度当初予算」が編成されている途中です。つまり来年度(令和4年4月〜)、皆様から頂いた大切な税金をどのように使っていくか。その使途を区が考えている最中ということ。
区側から各議員に情報提供された中身を見ると、歳入面では今後の見通しが不透明(もちろんコロナの影響も含めて不透明な部分が多いです)ということで、現時点では区税の増収を見込んでいないこと、歳出面では公共施設整備費などの増を見込みつつ全体では予算規模を前年比マイナス0.3%程度としていることが記されています。
今後は国や都の動向を見据えつつ、区予算への影響を見極めて、予算編成がより詳細に進められていくことになります。
さて、そんな中ではありますが、来年度の予算化が進められている事業の一つに「3歳児健康診査での多角的屈折検査の導入」があります。
これは、我が会派からも区に提言(2021.03.22 予算特別委員会にて田中優子議員より、同年03.24 予算特別委員会にて大庭正明議員)、又他会派からも同様の意見が出ていた施策。
子どもの弱視の早期発見・早期治療につなげるべく、区の3歳児健診においてスポットビジョンスクリーナー(SVS)を用いた検査を行うというものです。
SVSを使った検査は、他自治体で既に導入事例があり、東京23区においても、田中議員が議会で取り上げた2021年3月22日時点で既に4区で導入され、多くの弱視の子ども達を見つけているとのことでした。
日本弱視斜視学会のサイトに以下の文言を含む、要望書がアップされています。
子どもの 50 人に 1 人が弱視(視力が未発達の状態)であるとされています。3歳児健診 は、弱視を発見し治療につなげる大切な機会です。しかし、現状では診断を幼児の視力検査 に頼っているために、屈折異常による弱視を見逃すケースが多いことが問題となっていま す。 3 歳児健診の精度を上げるためには視力検査と合わせて他覚的な屈折検査の実施が必須ですが、コストや検査時間の長さ等に阻まれて、導入が進みませんでした。近年簡便な検査機器が開発され、屈折検査を導入する自治体が次第に増えてきているものの、市町村の財政などの事情により全国的にかなりの格差があるのが現状です。屈折検査導入率は自治体に よって 0%~100%と著しい差があり、平均28.4%となっています
又、同会のサイトで弱視は「早期発見、早期治療で治療可能なことがほとんど」とも記されています。
小さな子どもが「ぼやっとしかモノが見えない」と自覚して大人にそれを訴えることは非常に困難です。そしてそれを見つけ出す機材を個人が購入し、我が子を診断することも難しいでしょう。一方、早期発見、早期治療でしっかりとした視力を獲得できるというなら、公の負担で必要な機材を購入し、子どもたちに明るい視野を獲得させるのが大人の務めではないでしょうか。今般、議会からのこんな提言が身を結びつつあります。
区はSVS導入に期待される効果として以下示しています。
区における平成30年度の弱視発見率は 0.5%であったが、先行して導入している自治体では、弱視発見率が上昇しており、弱視の早期発見が期待できる。弱視の多くは、3歳までに発見できれば予後が良好で、矯正眼鏡の常用と健眼遮閉治療等によって就学までに治癒する可能性が高くなっている。
この施策は、実際の施策導入までしっかりと会派をあげてフォローしていく所存です。実際に導入されることが決まれば区は、保護者への個別通知をはじめ、区ホームページ、区のおしらせ、子育て応援アプリ、区公式 Twitter 等にて周知を行う予定となっています。
・概算経費(以下の額はいずれも現時点の見込みです)
令和3年度 約60万円(令和4年4月からの3歳児健診時に向けての準備経費)
令和4年度 約1,650万円
令和5年度 約1,300万円
令和6年度 約1,300万円
令和7年度 約855万円(前年度に比べ機器リース料分の負担が減)
令和8年度 約855万円
令和9年度以降 約730万円(未だ機器が使える場合を想定しての経費)
■以下、2021年12月20日の世田谷区議会福祉保健常任委員会資料より
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