小野澤宏時さんを招いて「探究的な学び」とは何か。授業の中に「子どもを揺さぶる内容」を埋め込んでおく。平たく言うと「いざこざの芽」を植えておく。
世田谷区議会議員、桃野芳文です。
昨日は世田谷区教育委員会のイベント、「せたがや探究的な学びメッセ」に伺いました。
このメッセは当初、多数の教員の皆様が下北沢タウンホールに集まり行われる予定でしたがコロナ「蔓延防止措置」に伴い、場所を変えてオンライン開催。
「せたがや探究的な学び」は、世田谷区の幼児・児童・生徒の実態に即して「探究プロセス」「共感・協働」をキーワードにした指導改善の取り組み。
「せたがや探究的な学びメッセ」は今回初開催で、1)パネルディスカッション、2)デジタルポスターセッション、3)クロージングトークの3部構成で行われました。
パネルディスカッションでは、東京大学大学院教育学研究科の藤江康彦教授、世田谷区の渡部理枝教育長、そしてラグビー元日本代表で静岡県教育委員会の小野澤宏時委員の3名をパネラーに、世田谷区教育委員会事務局の毛利元一課長がコーティネーターを務めてのディスカッション。
デジタルポスターセッションでは、区立小中学校の教員の皆様の中から「せたがや探究的な学び」を率先した授業を実施されている方を選抜してのプレゼンテーション。
クロージングトークはパネルディスカッションのメンバーの皆様によるデジタルポスターセッションの振り返り。
デジタルポスターセッションでは、教員の皆様が、「探究的な学び」つまり、以下のプロセスを通じて、子ども達の知的好奇心や探究心を喚起すること、子ども達が将来自己実現を図るために必要な能力を育むことを実践されていることが伝わってきました。
・課題を見い出し、把握している
・課題解決の方法を考えている
・学びを振り返り次につなげている
・協働して学んでいる
プレゼンテーションは5名の教員方によってそれぞれ行われ、どれも大変良い内容。前述のように今回のメッセはオンライン開催でしたが、ポスターセッションでは、チャット機能を通じて活発な質疑応答が交わされ、意見交換も活況でした。
一例を挙げると「学びの振り返り」に工夫が凝らされていた以下のような事例。
ある教員は、児童一人ひとりに一台ずつ配備されているタブレット端末を活用し、一人ひとりの振り返りが学級全体の学びになるよう工夫したり、児童が自分達の活動を振り返る動画を自分達で動画を作成することで、「振り返りを単なる形だけのものしない」よう工夫されていました。
質疑応答では「振り返りから学びに繋がった他の事例は」と授業内容を深掘りする質問が飛んでいましたが、その際は、動物愛護団体とZOOM 会議(オンライン会議)を行い、そこから子ども達が「自分達でできることはないか」と活動を始め、実際に学校近くの動物病院と連携して捨て猫、捨て犬の里親探しを行なっている、ただ動物が好きという気持ちではなく、命を無駄にしてはいけないという意志を持つことを子ども達が学んだ、と事例を紹介されていました。
そして、ラグビーレジェンド小野澤宏時さん、藤江教授、渡部教育長、のやりとりから印象に残った部分。
小野澤さんにはご自身が開発に深く携わった「オノタケ式ボールゲーム」を活用した授業を区立小学校で行って頂いたことがあります。その授業中の場面から以下のようなことをおっしゃっていました。
授業の中に「子どもを揺さぶる内容」を埋め込んでおく。平たく言うと「いざこざの芽」を植えておく。
例えばクラスを10人ずつのグループに分けるが、ゲームは6人対6人で行うことにする。
すると、5人ずつが交代しながら出場するやり方はできない。子ども達は自分達でどうすれば公平に楽しめるか。どうすればゲームを優位に進められそうか。自然と会話をし始める。
解決しないとゲームが続けられないという課題を与えることで自分達でルールを作るという動きが出てくる。
なるほど。
これに対して渡部教育長。
教員は基本的に親切心。子ども達にわかりすくと考えてしまう。
しかし、探究的な学びには、あえて「葛藤をつくる場面」が必要と感じた。
そして藤江教授。
子どもにいかに委ねられるか。教師が「何をするか」と「何をしないのか」を考える。
探究的な学びとは何か、を探求していくことが大事。
「教え方がうまい先生」というより「学ばせ方が上手い先生」が必要。
教えるのはなく、学ばせる。
言うは易く行うは難しですが、桃野もしっかり心に刻みたい言葉です。
■メッセ終了後、小野澤宏時さんと
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