2020-05-27

世田谷区長。モヤモヤした挙句「やっぱり見栄えが大事」の結論へ。「世田谷区は待機児童ゼロに」のニュースを読み解く。

世田谷区議会議員、桃野芳文です。
本日、大きく報道されていたニュースの一つ。
「世田谷区は待機児童がゼロに！」。こちらはNHKニュース。
【世田谷区待機児童ゼロに全国の市区町村最多を返上】（NHKニュース、2020年5月27日 12時19分）
「ここ7年のうち、6年にわたって待機児童の数が全国の市区町村で最多となっていた東京世田谷区は、保育の定員を増やし、国の基準に沿った算定方法に見直したところ、ことし4月時点の待機児童の数がゼロになったことが分かりました。」と報道されています。
世田谷区長も自身のツイッターで宣伝に余念なし。

東京世田谷区待機児童ゼロに全国の市区町村最多を返上 | https://t.co/xHnwYQ8fUz ここ7年のうち、6年にわたって待機児童の数が全国の市区町村で最多となっていた世田谷区は、保育の定員を増やし、国の基準に沿った算定方法に見直したところ、ことし4月時点の待機児童の数がゼロになったことが

— 保坂展人 (@hosakanobuto) May 27, 2020

この”待機児童ゼロ”については、本日夕方の区長記者会見で発表される予定でしたが、区長は、夕方の記者会見後、その様子もツイッターにアップ。全く宣伝に余念なし。

大変遅くなりましたが、5月27日記者会見の撮り直した記者会見です。約30分、「新型コロナ対策」「保育園待機児童ゼロ実現」「緊急事態宣言解除後の学校、保育、施設の対応」などを発表しています。https://t.co/tEnXkk0E0H — 保坂展人 (@hosakanobuto) May 27, 2020

世田谷区長は本日の記者会見で、世田谷区は過去6度、待機児童全国ワースト１だった。この度、長年の懸案だった「待機児童ゼロ」を実現した。と言っていました。
昨年は470人と全国ワースト１だった待機児童がゼロ。。。
当然のことながら、そんな簡単に待機児童はゼロになりません。そこには“ある大きな理由”があるんです。
記事にもあるように
・保育の定員を増やした
・待機児童数の算定方法を見直した
ことで実現した待機児童ゼロ。「算定方法の見直し」これは大きい。
以下、区作成の資料をご覧ください。（赤線は筆者強調）

世田谷区は、①の方から②〜⑩の方を差し引いて待機児童としています。
例えば「認可保育園、認証保育園を希望したけど入園できなかった。結果、企業主導型保育を受けている」という場合は待機児童とはなりません。又、⑦「自宅から2km以内に保育施設はあるけど、遠いし、通勤の導線と外れているからここでは無理・・・・」と入園を希望しなかった場合も待機児童にはならない扱い。
区担当所管の課長は「⑦の474人の中には、現に保育に欠ける（保育を必要としている）状態の児童が含まれているだろう」という見解を持っています。
でも、この児童らは待機児童として数えないというのが今回の保坂区長の判断。
多くの皆さんに知っていただきたいのは、待機児童の定義を変えればその数字は変わるということです。
保坂区長は、かつて、待機児童の数え方について、こう言っていました。
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「（待機児童数が）1千人台が3年も続いてしまった。ただ、その数のはじき方で、保育園に入れなくて育休復帰や求職活動を断念した人を除外するなど、できるだけ少なく見せようとする自治体も多い。その方がイメージがよくなるので」「世田谷区では、見栄えをよくする工夫は住民を惑わすだけと厳に戒め、実態に近い数字を出してきたことは、言っておきたい」
引用元【待機児童「ワースト」返上しても喜べない…世田谷区長のモヤモヤ】（with news、2018年9月21日）
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保坂区長は、「世田谷は待機児童が多いとされるが、その概念を統一してみると、待機児童ゼロといわれる自治体が必ずしもゼロではないこともはっきりした。保護者に正確な情報を出すのが自治体としての責務だ」と反論した
引用元【待機児童数全国最多の世田谷区、厳格な保育施設基準「継続」】（産経ニュース、2018年1月12日 7時05分）
かつて、他自治体を批判し「待機児童数を少なく見せようとする工夫は住民を惑わす！それはやっては行けない。世田谷区は実態に近い数字を出す」と鼻息が荒かった保坂展人世田谷区長。
長年「待機児童、全国ワースト１」となりモヤモヤした挙句、今年「世田谷区も見栄え大事！」の結論に行き着いたようです。