あらゆる行事を中止にすれば何も考える必要なく仕事は楽かもしれませんが、それで「学ぶ機会」を奪われるのは子ども達。
世田谷区議会議員、桃野芳文です。
新型コロナ感染症への対応に関連して、世田谷区から一昨日(5/22)の発表。
【区立小中学校における段階的な教育活動の再開について】(世田谷区のサイト)
上記のリンク先にあるように区は、世田谷区の区立小中学校が6月1日から「分散登校」を開始すること、学校における各種行事の中止など発表しています。
世田谷区の教育のトップは教育長ですが、区のトップは区長。そして新型コロナ対策にあたる「対策本部」の本部長は区長ですから、こうした決定も最終的な判断は区長によるものと考えて間違いありません。
桃野は、世田谷区長や区の教育長が子どもの教育について真剣に考えているのか。コロナ関連の施策について科学的思考に基づき判断しているのか。疑問に感じます。
深く考えもせず、安易に中止にすることで自分たちの仕事から逃げているのではないかということ。加えて「平等」というものを履き違えているのではないかということ。
こちらは5月22日の区の発表を受けて昨日(5/23)書いた桃野のブログです。
【世田谷区立小中学校は6月1日から分散登校、各種行事の中止など発表。でも「来春の修学旅行も中止」の理由に驚いた】
世田谷区では、区立中学校の全校で修学旅行を中止する方針。コロナ禍で修学旅行の延期を決め、来春3月の実施に向けて頑張って準備を進めてきた学校に対しても中止を求める方針です。
来年3月の修学旅行を中止に?
担当所管に確認すると「修学旅行を実施できる学校と、できない学校があるのは良くない」との答えが返ってきました。
この件は、今朝(5/24)の読売新聞でも報道され、記事では保護者の声も取り上げられています。
【保護者「なぜそんなに早く諦めるのか」…区立中の修学旅行中止に不満も】(読売新聞)
以下、記事内容から。
・区によると、修学旅行を1学期中に実施予定だった学校の中には、日程を変更するのが困難なところもある。
・区教育委員会は、学校ごとに実施の可否が分かれることを懸念し、全ての区立中学校で中止にする方針。
・ある中学校では、旅行会社と調整を進め、3月中旬に実施することが決まったばかりだった。
・この学校の保護者の一人は「子供たちは『コロナ禍では中止が当たり前』という感覚になってしまっている。もう少し前向きに検討できないものか」と話した。
(抜粋以上)
上記記事でも触れられていますが、文部科学省は、今年3月10日の時点で、修学旅行の教育的な意義や、児童生徒の心情への配慮を理由に「修学旅行は延期扱いとしてほしい。既に中止した場合も、感染の終息後に実施を検討してほしい」としています。
【小中高の修学旅行「中止でなく延期を」…文科省要請】(2020.03.10読売新聞)
又、5月21日の事務連絡にも「当面の措置として修学旅行を取り止める場合においても、その教育的意義 や児童生徒の心情等にも配慮いただき、中止ではなく延期扱いとすることを検討いただくなどの配慮をお願いしたい」としています。
【新型コロナウイルス感染症に対応した小学校,中学校,高等学校 及び特別支援学校等における教育活動の実施等に関するQ&Aの送 付について(5月21日時点)】(文部科学省のサイトより)
■5月21日の文科省の事務連絡、28ページに掲載の問45(※赤線は筆者強調)
世田谷区長、教育長は、こういう事務連絡に目を通しているのでしょうか。あらゆる行事を中止にすれば何も考える必要なく仕事は楽かもしれませんが、それで大事な「学びの機会」を奪われるのは子ども達です。これは中学校3年生の修学旅行の話だけではありません。
■こちらは4月30日の教育長発信の文書(一部抜粋)
■そして、こちらは5月22日の教育長発信の文書(一部抜粋)
小学校の移動教室等だって、何か代替案を考えて実施することはできるはず。世田谷区は何か考えるつもりはあるのかな。
例えば世田谷区のお隣、川崎市の例。
【修学旅行、小学校は中止 中学校は延期検討 川崎市教委】(2020.05.21神奈川新聞)
以下、記事内容から。
・川崎市教育委員会は、市立中学校の修学旅行は秋への延期を検討する。
・小学校(114校)は例年6~12月に、栃木県日光市を訪れていた。校外学習など、学校ごとに今後、代替行事を検討する。
(抜粋以上)
非常事態の場面でこそ、子ども達は大人を、時のリーダーの振る舞いをしっかり見ているものだと思います。自称教育ジャーナリストの世田谷区長。せめて子ども達の「学びの機会の補償」にはしっかり取り組んでもらいたい。
文科省のガイドラインを全く無視した方向。子供の心情など全く考えていません。桃野さん、保護者からの声を届けてください。どうかお願いします。お願いします。