【支援措置】世田谷区、DVから逃れるために居場所を秘匿していた親子の住所情報を加害者側弁護士に漏らす(1)
世田谷区議会議員、桃野よしふみです。
本日のブログも桃野の本会議、一般質問より。
本日は「DV(ドメスティック・バイオレンス)被害者に対する区の対応」について。
DV(ドメスティック・バイオレンス=配偶者間暴力、家庭内暴力などと訳される)や、ストーカー等の被害者の申し出により、住民票の写しや戸籍の附票の交付に制限をかける制度があります。
被害者の居所を秘匿するための措置で、これを一般に「支援措置」と言います。ちなみに、今年3月末時点で世田谷区内の支援措置対象者は824名。
さて、この支援措置で、区はこれまで相次いで事件を起こしてきました。例えば、平成26年3月、ある女性が住民票などの閲覧・交付制限を希望して役所を訪れた際、区の職員が3人がかりで「そんな制度はない」と門前払いするという事件。平成26年6月、そして平成28年11月と、支援措置を受けている方の住所氏名を、区が加害者に伝えるミス、この時は区が、支援措置対象者に転居費用等を支払っています。別のケースですが平成28年秋にも支援措置をめぐって区による不適切な行為が明らかになりました。
区議会で明らかになったものだけでもこれらの事例があり、区はその都度、善後策を講じる旨を表明してきましたが、今般また新たな事例が明らかになりました。
区内に住むAさんは、平成28年6月、区に支援措置の相談を始めました。
Aさんは平成24年11月ごろより、夫からの暴力を受け始め、その後警察や区の総合支所とのDV被害者として相談を開始、当時、離婚を巡って夫と裁判にもなっていました。そして実際に昨年9月、Aさん親子は夫が把握していない住所へ転居するタイミングに合わせて、区から支援措置を受けています。
ここで一つ、見落としてはいけない重要な事実があります。Aさんは支援措置を受ける前に、自分の弁護士から以下のようなアドバイスを受けていました。
【支援措置を受けていても、元夫(つまりDV加害者)の弁護士が「裁判に使用するため」といって住民票の写しの交付請求を行う可能性がある。その際、弁護士であっても交付を拒否するよう区に申し入れをしておくこと】
それを聞いたAさんは自分の弁護士のアドバイスにしたがって、区の出張所の窓口で「加害者の弁護士にも住所情報を与えないで欲しい」旨を申し出ています。その際、対応した職員は「特段の事情がなければ弁護士といえども交付しない、安心して欲しい」旨の発言をしたそうです。
それを裏付けるように出張所に残る相談の記録には「相手側の弁護士から家裁提出用として住民票の請求があるかもしれない」と、職員がAさんから聞き取った旨、記載があることが確認されています。
しかし、支援措置決定の約1ヶ月後、区は加害者の弁護士に住民票の写しを交付してしまいました。Aさん親子は現在、再度転居する経済的余裕もなく、自分たちの住所が加害者に伝わることを恐れながら生活をしています。
桃野は一般質問を行う前に、区の担当所管に事実確認を行っていますが、その際の区の課長(複数の課長がそう答えた)の答えは「弁護士が職権に請求してきたものは断れない。逆に不作為だと主張されればこちらが負けてしまうんです」というものでした。
しかし、その後に桃野が自ら関係法令を当たると、この説明が事実と異なることが判明します。区の課長たちの認識不足か、それとも意図的に桃野を煙に巻こうとしたのか。。。
住民基本台帳法12条には、以下内容が記されていました
「市町村長は、弁護士等から住民票の写し又は住民票記載事項証明書が必要である旨の申出があり、かつ、当該申出を相当と認めるときは、弁護士等に当該住民票の写し又は住民票記載事項証明書を交付することができる」
つまり、交付するかしないかは自治体の裁量に委ねられています。
更に、法務省が通知する「住民基本台帳処理要領」には、支援措置において支援対象者や加害者以外の第三者から住所情報の閲覧の申し出があった場合、請求事由や利用目的を厳格に審査することや、特別の必要があると認められる時は、交付する必要がある機関等から交付請求を受けるなどすることが望ましいとしています。
つまり法務省は、例えば、加害者の弁護士から「裁判に利用するため」と交付請求があった場合は、弁護士ではなく裁判所に直接交付することが望ましいと自治体に通知しているのです。
では、なぜ区は、DV被害者の住民票の写しを加害者の弁護士に交付してしまったのか。
次回のブログで明らかにしてまいります。
一般質問の様子は、 世田谷区議会のサイトよりご視聴いただけます。
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