原子力発電について考えるシンポジウム
シンポジウム「福島第一原子力発電所の事故を通して、世界のエネルギー・環境問題を考える」を、霞が関の弁護士会館にて聴講しました。
会場は立錐の余地無し。熱気が充満し、まさに今関心の高いテーマだと再確認です。
6名のパネリストによるプレゼンテーションとディカッション中心のシンポジウム。
原子力発電所の安全性に対する意見、今後のエネルギー政策の在り方に対する意見を中心に、様々な見識をお持ちのメンバーがそろいました。
互いに意見の異なるパネリストでは激論になる場面も。真剣な議論が行われ、こちらも聴きごたえのあるものでした。
色々な意見がありましたが、私が感じたこと。
原発の安全性を語る場合、原発自体の安全性を語るのではなく、外部との関わりもしっかり織り込まなければいけないでしょう。
例えば、外部電源が必ず来るのか、水は必ず来るのかと言われれば、それは不確実。
津波しかり、竜巻しかり、原発自体のロジックが破たんしなくとも、ロジックの前提たる環境が変わってしまえば、安全を守り切れるものではありません。
「何が起きても」安全が確保できるという状況を作り出すことは、現実にはありえないのではないでしょうか。
いつでも「想定外」が起こる可能性は否定できないのだから。
加えて、今の日本で、自分の家の隣に原発が来ても平気だという国民は非常に少ないと思うのです。
いくらCO2を出さない、化石燃料を必要としない、とメリットを挙げてみても受け入れることができる人がどれだけいるのか。
周辺住民のコンセンサスがとれない以上、実際には原発を動かすのは無理というのが実情ではないでしょうか。
議論の余地なく、「推進」の選択肢は消える。
これが抗えない世論の流れだと感じます。
かたや、代替エネルギーの話。
太陽光や風力発電に原子力発電に対する代替エネルギーとして、実現性があるのかどうか。
これは専門家の間でも、意見の幅が広いように思います。
多分に、「夢」や「希望」の部分が入ってくるということも否定はできないでしょう。
しかしながら、新しい技術の土台には必ず夢や希望が含まれている。
それもまた事実。
国民が新たなコストを受け入れてでも脱原発依存を進め、徐々に原子力エネルギーの割合を下げながら、新エネルギー分野における技術革新を目指す。
財政的な支援を含め、政策もそれを後押しする。
それが今、必要なことではないでしょうか。
ドイツの脱原発路線が今後どういう道をたどるのか。
一つのケーススタディになることは間違いありません。
コメント2件
福島の事故について、
原子力で事故がおきると放射性廃棄物がでで、子供の癌や健康問題が増えることは間違いなくこんな福島のような事故が25年間隔でおきていたら、かなわないというのが気持ちです。
今後のエネルギーと社会について、
化石燃料はいづれはなくなることは間違いなく、太陽エネルギーを有効利用できるようになればエネルギー問題はなくなると思っています。しかし、社会は高度情報化社会に今後もなることは必要で電気という便利なエネルギーは、コンピュータや高度な社会システムを維持するには、ふんだんに安く安定供給できることがこの社会を進展するには必要とも思っています。だだ、原子力がなくたって、火力、水力、LPG発電があればすぐには困らないはずです。今後10年ぐらいを考えると世界で加速しているスマートグリッドエネルギー社会が方向だと思っています。私は仕事がITなのでバイアスがあるとは思いますが理由は以下です。
1)太陽電池が屋根に貼り付けられて晴天昼間の電力は自分でつくることができるようになる。
2015年ぐらいには家に付けられるようにならないか?
2)ヒートポンプ革新技術がでてきている。(加えるエネルギーを外気温をもとに圧縮して温度差をつくる技術、エアコンは冷気を部屋で使い、廃棄熱をお湯で利用するような技術)
エネルギー効率の革命的な技術を日本が開発している。
3)水素と酸素から電気と熱を発電する燃料電池の水素社会は長期的かもしれません。水素が家庭にはいるのは危険にも思えますが、太陽電池の天候の変動や今後の停電対策にもすぐにも風呂のガス釜で自家発電できるようにしても良いのではと思っています。
4)エネルギーを節約するというより需要者側での無駄をコミュニティで管理し、需要者側での発電でピーク電力を抑えて、大規模発電のピーク電力を抑える社会が必要だろうと思います。すでに世界ではその方向で進んでいるように思います。
電気やエネルギーを自給し、安定供給するには、カリフォルニアで2012年までに1000万世帯にスマートメータを入れようとしていることや、日本の4箇所の地域で進めているスマートコミュニティ実験で横浜市のみなとみらい地区で4000世帯にスマートハウスにする実験をしているように聞いています。
世田谷区でもスマートメータコミュニティ実験などはないのですか?
現在の儲け至上主義から、今後は本当の意味での地球レベルでの最適化社会へどう向かっていくのか。その中で、代替エネルギーはどうあるべきか、技術レベルとの整合を図りながらどのようなマイルストーンで進めていくのかを明確にし、予算配分を明示すれば、国民の支持は得られるのかもしれません。大切なことは、すべては次世代のための今であることではないでしょうか。