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2021-02-13

区立保育園で起きたこと。なぜ当初から区は「これは虐待である」と明言できなかったのか。

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世田谷区議会議員、桃野芳文です。

昨年は、幼い子供が虐待で命を落とす事件が相次ぎました。最悪の結果に至らずとも、子どもが大怪我をした事件もあります。

児童虐待に関する報道に触れると、そこには圧倒的な力の差を利用して一方的に強者が弱者をいたぶる構造を感じ取らざるを得ません。抵抗する術もなく、徐々に命を奪われ行った子ども達の心中を慮ると、激しく心が痛みます。しつけのため。教育のため。力を振るう側が必ず語る言葉ですが、それを認める気持ちは微塵も湧いてきません。

さて、世田谷区の区立保育園で行われていたこと。

世田谷区は「不適切な保育」と言う言葉で表現し、桃野はそこに大きな違和感を感じていました。以下は昨年12月の桃野ブログ。

区立保育園で「不適切な保育」。ドリバン事件で区長が「体罰の手前」と言ったことを思い出す】(2020.12.06 桃野ブログ)

この件について昨日(2月12日)の福祉保健委員会で報告があり「不適切な保育」から「虐待」へと区の認識が変わりつつあることが示されました。なぜ当初から区は「これは虐待である」と明言できなかったのかが疑問ではありますが。

ここで改めて、ある区立保育園で保育士が園児に対して行ったと明らかになっていることを振り返っておきます。

1.午睡の際、寝入りばなの子どもに、二つ折りにした敷布団を、上半身に落とす行為をした。

2.食事の片付けの時、行動がゆっくりの子に「まだ終わってなかったのか」と言いながら、頭の上に音がするくらい両手を振り下ろして当てた。

3.次の通り、乱暴な言葉を使用した。

・食事の準備の時、座ってない子どもに「何回も言ってんだろ」と言った。

・着替えをしていたが手間どっていた子に「何でこんなことも分かんねえんだ」と言った。

4.食事の際、泣いてしまった子どもを隣室に1人にした。

5.食事の際、飲み込めなくても口から出してはいけないと強く指導した。

6.おやつを食べなかった子どもの指導で、泣いていた子どもを年齢より下のクラスに連れて行った。

7.トイレやトイレットペーパーでいたずらを2日続けた子どもに対し、オムツを使用してないのに「トイレを使えないやつはオムツで寝かせるぞ」と言った。

8.午睡の際、おでこに消しゴムを置いて動けないようにして寝かせる行為をした。

9.午睡の際、幼児クラスで視界をふさぐように子どもの顔にバスタオルをかぶせた。

ちなみに、昨年の11月11日の福祉保健委員会での資料(世田谷区 保育部 保育課が作成)では以下説明されており、上記内容とはそこから受ける印象が大きく異なります。

臨時保護者会までに確認した不適切な保育の内容については以下の通り。

1.子どもとのアイコンタクトをしたとしつつも、敷布団を保育士の膝の高さから園児の身体に落とした。

2. 夏場のシャワー時、嫌がる園児に水をかけた。

3. 保育士が園児の頭に手を置いたり、軽くポンと押し、「~しないと、~だよな」と言った。

4. 午睡時に、おまじないで園児の頭に消しゴム等を置き、寝かせた。

※以下、昨年2月11日時点で区が報告した「保育士の行為」。ちなみに「シャワーを嫌がる園児に水をかけた」の部分ですが、保育課長からは口頭で「園児の顔に水をかけた」と報告を受けていましたが、その後の区の報告からこの部分は丸ごと消えてしまいました。赤線は桃野の書き込みです。

こうしたことについて区は【不適切な保育に関する検証や全区立保育園における再発防止に向けた改善策を取りまとめるため、外部有識者による「区立保育園における保育のあり方検討会」を設置する】とし、昨年12月18日に1回目の検討会を、今年1月22日に2回目の検討会を開催。2回目の検討会では以下の認識が共有されたとのこと。

以下、2月12日福祉保健委員会への報告資料(世田谷区 保育部 保育課が作成)より抜粋。

児童相談書への聞き取り等を踏まえ、虐待の定義と今回の9つの行為と改めて比較検証し、区として「虐待にあたる」とする判断について第2回検討会で報告したところ、9つ全ての行為について虐待にあたるという認識を共有した。

今後、3回目の検討会を2月中旬に、4回目の検討会を3月中旬に開催し、3月下旬には最終的な報告書が検討会によりまとめられるとのこと。問題を改善するためには、起きたことを正しく認識することが出発点。保育士が園児に対し、日常的に前述のような行為を行っていたにも関わらず「不適切な保育」と、問題を矮小化していた世田谷区。世田谷区は本来、検討会での議論を待つまでもなく、保育士がこれら行為を行っていたことをもっと深刻に受け止めるべきだったのではないでしょうか。

さておき、本件の検証と今後の提言については検討会で取りまとめらることになり、4月には議会にもその報告がされるとのこと。先ずはその結論を待ちたいと思います。

「区立保育園における保育のあり方検討会」のメンバーは以下の皆様。

・森田 明美氏:東洋大学社会学部社会福祉学科 教授

・田谷 幸子氏:帝京平成大学現代ライフ学部人間文化学科講師, 西東京市子ども・子育て会議委員

・加藤 吉和氏:元鎌倉女子大学児童学部子ども心理学科 教授

・菊池 和子氏:社会福祉法人 福音寮 統括園長

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