日大アメフト部の「改善報告書」。監督がまさに「暴君」としてチームを支配していた様子が生々しく記されています。
世田谷区議会議員、桃野よしふみです。
今年5月6日、日本大学と関西学院大学のアメリカンフットボール部定期戦で起きた「悪質タックル」。テレビのニュースで、そのタックルシーンが繰り返し報道され、世間の耳目を集めることとなりました。
その後、加害選手が記者会見で、監督やコーチの指示で故意に悪質なタックルを行ったことを明らかにする一方で、監督、コーチは指示を否定。日本大学は、弁護士からなる第三者委員会(日本大学アメリカンフットボール部における反則行為に係る第三者委員会)を設置し、真相究明に当たっていました。
その後、第三者委員会は関係者への聞き取り調査などの結果「加害選手の説明は全般的に信用できる、監督、コーチの説明は信用できない」「監督、コーチは加害選手に対して反則行為(悪質なタックル)を指示した」と認定し、日本大学も「第三者委員会の事実認定を真摯に受け止め、事実として尊重する」との認識を示しています。
昨日、日本大学は、第三者委員会の調査結果も踏まえた「チーム改善報告書」をホームページで公開しました。
まず、日本大学、日大アメフト部が大きな批判を受けた事件ですから、こうした報告書を誰もが手元で見られるようネット上に公開したことはとても良いことだと思います。事件を反省する姿勢とともに、今後の改善策を示したことは、あのような事件の再発防止に真摯に取り組む意志を世間に示すものと言えるでしょう。
さておき、この改善報告書を一読しましたが、その中身は、日大アメフト部という集団が、非常に危険な状態にあったことを示す恐ろしいものでした。
監督はまさに、暴君としてコーチ、学生を支配し、コーチ、学生はその支配に従順に従っていた様子、又、部外(日大内であっても)からの監視が一切働かないその仕組み、などが生々しく報告されています。
【「チーム改善報告書」の公表について】(日本大学のホームページより)
・監督は、日大の常務理事、日大保健体育事務局事務局長などを兼職しており、学内の人事権を握る立場にあったことで、学生やコーチは監督に意を唱えることができなくなっていた。
・監督は、選手に対してアメフト第一で取り組むことを求め、学業や就職活動が疎かになることなど意に介さず、学生の健康状態への配慮もなかった。
・監督は、勝利至上主義の下、普段から反則を容認するかのような指導を行っていた。
・監督は、自身の意に沿わないコーチに激しい暴力を振るったり、暴力を伴う指導を拒否したコーチを辞任に追い込むなどしてきた。
・コーチらは、監督の言いなりになり反則を厭わない方針を受け入れていた。監督だけでなくコーチらも暴力に対する感覚が鈍磨していた。
このような報告書を読むと、日大アメフト部は、もはやスポーツのための集団ではなかったと感じざるをえません。この悪質タックルでことが明るみになる以前にも、きっと様々な問題が起きていて、多くの犠牲者がいたことでしょう。
スポーツを愛し、アメリカンフットボールを愛し、自身の青春を日大アメフト部にかけようとした若者を、これまで一体どれだけ潰してきたのかと思うと憤りを感じます。
しかし、既に報道されていますが、日大アメフト部は既に監督、コーチを一新し、新たなチームとしてスタートすることが決定しています。そして、報告書では、部が「閉じられた世界」「周囲から見えない世界」にならないよう新たな仕組みを取り入れることが具体策として示されています。
こうした改善がなされチームは変われるのか。多くの人が注目していることでしょう。
学生スポーツは本来、人を成長させてくれる場であるはず。そして、日大アメフト部ほどの強豪になれば、多くのアメフトファンの憧れとなる存在のはずです。
日大アメフト部が、やがて全国のフットボーラーに尊敬され、目標にされるようなチームになることを願っています。
スポーツの力を信じる一人として。
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