学校の校則はどのような過程を経て作られる?区長が議会で桃野に答えたようにはなっていないという事実。
世田谷区議会議員、桃野芳文です。
本日のブログも桃野の一般質問から。
一般質問の動画はこちらをご覧ください。
今日のブログは「昨年の秋よりスタートした「区立中各校の校則を各校HPで公開」に関する問題」
昨年11月29日の文教委員会で報告されていますが、世田谷区の区立中学校の校則は、昨年の11月中旬から下旬にかけて各校HPで公開されるようになりました。
桃野は校則の「見える化」については大賛成。
校則の見える化で、保護者、地域の方々らの意見が反映されやすいようにし、時代錯誤の校則や、子ども達の生活に過剰に制限を加える校則を無くして行くことにつながる効果があると考えます。
しかし、しかし。
今、桃野のもとには、この校則公開に関連し、学校や保護者から怒りの声や不信感が寄せられています。
そういう声に耳を傾けてみると、世田谷区教育委員会(区教委)の「やり方」には大きな問題があるように思いますし、そもそも区教委は「議会から言われたからやった」という受け身の姿勢、更に「表面的に形が整っていればそれで良いと考えている」ように見えて仕方がありません。
世田谷区立立中学校のある校長の声からある例をご紹介します。
この校長は時代に合わないルールは変えよう。そしてその変えるプロセスを大事にしなければいけないと考えていました。
具体的には、生徒会の掲示板を使い、生徒から現行の校則について自由に意見を募っていたんです。つまり、新たな校則づくりを生徒とともに進めていた途中だったんです。
そんな段階で区教委から「校則をHPにアップせよ」と指示がきたので、校長はその時点で運用されている校則(見直し前の校則)をHPにアップしようと考えました。
ところが、その校則に対して、区教委からは「赤が入ったもの」、つまり添削されたものが帰ってきて、この内容で何日までにアップせよとの指示があり、結果「その時点の校則に区教委が赤を入れた校則」がHPで公開されるに至りました。
校長は「もう公開されてしまえばこれが今のルールであるということは仕方がない。しかし内容については何の議論もなかった。これでは一方的なルールの押しつけで生徒への説明もつかない。こんなことをしていれば、もし区教委が「学校が荒れているから校則を厳しくしろ」と指示してきたら校則が又厳しくなる、そんなことの繰り返しになってしまう。」と言っていました。
ちなみにこの校長は同趣旨の内容を直接教育長にも伝えたそうです。
別の校長と、その学校の生活指導担当の教員の話も紹介します。
この校長らも「学校の決まりを区に提出したら添削をされ、これを掲示しろと言われた」という話は同じです。
加えてこの学校の場合は生徒、保護者に対して校則が変わったことについての説明は行われていませんでした。そこでHPで公開された校則を見た保護者が混乱し、学校側と話し合いの場を持つことに。
そこで学校側からあった説明は「HPで公開したものは今の校則ではない。あれは添削されて公開したものであり、来年度に向けて調整中のもの。しかしこの通りの校則になるかは分からない。」「普通は、年度途中で校則を変えない、ダブルスタンダードということは区教委も知っている。」と言ったものでした。
この話し合いの結果、HPには「来年度に向けた案」という趣旨が追記されましたが、参加した保護者は、内向けのルール、世間向けのルールがダブルスタンダードになっているのかと不信感を持たれています。
桃野は、平成30年06月14日の区議会一般質問で、その年3月の参議院文部科学委員会で林文科大臣が「校則見直しの際は、児童生徒が話し合う機会を設けたり、保護者の意見を聴取するなど、児童生徒や保護者が何らかの形で参加した上で決定するのが望ましい」との見解を示したことを挙げて「世田谷区立中学校でこれは実践されているか。または今後実践されるのか」と問うた際に、区長は以下答弁しています。
「御指摘になった参議院文部科学委員会での林芳正文部科学大臣の答弁にも触れられているように、校則の見直しについては、児童生徒がやはり当事者として話し合うこと。また、保護者の意見を聞くことや、児童生徒あるいは保護者、教員も含めてしっかり話し合った上で、学校長が変更するという、そういった流れだと思います。教育委員会と校長会等が課題意識を共有し、学校を取り巻く社会環境や、児童生徒の状況の変化、そしてこの時代の流れをしっかり受けとめて、これまでやや画一性を求めてきた学校教育の場の中で、多文化共生やダイバーシティの方向に変化が迫られていることなども議論していただき、私としては教育委員会の独立性を尊重した上で、私からも意見を述べていきたいというふうに考えてございます。」
でも、これまで述べてきた経緯に見られるよう、この区長答弁は全く区教委に浸透していません。
校則の見直しについては、区は見直し方針を各校に示す、各校はその方針に沿った校則づくりを目指して、生徒、保護者と話し合う、又、世田谷区の区立小中学校は全て地域運営学校ですから地域の声も聞く。という過程を経て、取り組むべきです。
そして当然のことながら、公開される校則はその時点で適用される校則であるべきでしょう。
今回、区側の答弁は以下のような内容でした。
・中学校の校則の見直しや公表については、各校長と区教委において意見交換を行った上で取り組みを進めた。
・校則の見直しに向けて地域や生徒との話し合いに今しばらくの時間を要するとした学校については、本年3月までというスケジュールにより見直しを進めてもらっている。
・一部の現場において、区教委からの説明が十分に伝わらず、誤解に基づく混乱を生じたことについては、反省しており、今後の制度の見直しについては、より丁寧な説明に努める。
区教委としては、一応反省はしているようですが、反省点は「誤解を与えて、混乱させた」ことらしい。
本当に、誤解という言葉で終わりにして良いのか非常に疑問を感じますが、それは一旦おき、校則の見直しをその過程も大事にしながら、しっかり進めてもらいたい。
これからは、区長が以前桃野に答弁しているように、生徒、保護者の声もしっかり取り入れ、かつ浮世離れしたおかしなルールとならないよう気をつけながら、校則見直しに取り組んでもらわなければなりません。
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