今度は浜松市、日立市でDV被害者の情報が漏洩。日立市は「しつこく求められて伝えてしまった」と、信じられ無い事例。
世田谷区議会議員、桃野芳文です。
これまでDV等支援措置にまつわる様々な問題を議会で取り上げてきました。
世田谷区では、過去、支援措置対象者であったDV被害者の住所を、DV加害者側弁護士に渡してしまったにも関わらず、区長が「全く問題ない」と開き直り続けたという事件がありました。
こちらは、関連ブログ↓
【世田谷区長の「自身の大失態を認めたくない」という、その態度がDV被害者に大きな不安、強い恐怖を与えている。】
役所は、住民票や戸籍に関する仕事をしていますから、住民の住所情報を持っています。
そこで、DV(ドメスティック・バイオレンス)やストーカー被害を受けている方が、その被害から逃れるため、自分の住所情報を厳しく管理してもらうよう役所に申し出るのが「DV等支援措置」。
例えば、X区に住んでいたDV被害者Aさんが、加害者Bから逃れるために家を出て、Y区で暮らしているとします。
Aさんは転居に伴って、Y区に住民票を移す際「支援措置」を申し出て、それが認められれば、X区役所もY区役所も、BやBの依頼を受けた第三者に、Aさんに関する住所情報を一切渡してはいけません。AさんとBの関係が親子や夫婦であっても、役所は一切、Bの請求に応じてはいけないのです。Aさんの安全を守るためには当然の事ですね。
ところが、昨日、今日と信じがたいニュースが報道されています。
昨日の夕刊で報道されていたのは、浜松市の事件。
【浜松市、DV夫に誤って住所通知 女性に転居費など63万円賠償】(毎日新聞)
【DV元夫から「ここに住んでいるのですね」…女性住所漏らす】(読売新聞)
・浜松市は、夫からDV被害を受けて離婚し、支援措置を受けていた女性の転居先住所が分かる書類を誤って元夫に送付。
・浜松市では、保育所に通う子どもがいる生活保護世帯に文房具購入費などを支給する事業を行っている。
・女性に申請を促す書類を送る際、誤って女性が元夫と以前に同居していた住所に郵送。
・元夫の指摘で誤送付が発覚。書類には女性の新しい住所が記載されていた。
・女性は元夫から「ここに住んでいるのですね」などと連絡される2次被害を受けた。
・女性は再度の被害を恐れて引っ越した。
・市は女性に謝罪し、慰謝料や転居費など63万6594円の損害賠償金を5月に支払い、女性と和解。
そして、今日の朝刊では日立市で起きた事件が報道されていました。
【日立市 DV被害者情報漏えい 損害賠償160万円支払い】
・日立市は、市職員が、DVの被害者の妻と娘の現住所を加害者の夫に漏えいしたと発表。
・妻は転居と転職を余儀なくされ、市が慰謝料と合わせて計160万円の損害賠償を支払うことで示談が成立。
・日立市役所の国民健康保険課の20代の男性職員が、夫から電話の問い合わせを受け、妻の現住所を伝えた。
・職員は夫からの再三の求めに抗しきれず、答えた。
・妻はDV被害者保護のための「支援措置」を転居先の自治体に申し出ており、市の住民基本台帳の業務システム上でも、個人情報の取り扱いについて注意を促すメッセージが表示されていた。
・市は職員を訓告処分、上司らを文書や口頭による厳重注意処分とした。
世田谷区で起きた事件でも、DV被害者の住所について、加害者側弁護士から請求があり、世田谷区役所は一度は断っていました。それがなぜか覆ってしまったという経緯だったことも明らかになっています。
強く言われたから、しつこく求められたからという理由で、役所が支援措置対象者の住所を漏らしてしまうなど到底許されることではありません。
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