爆弾や機関銃ではなく、車を暴走させてのテロは、準備段階で犯人を捕まえるのが非常に困難。
世田谷区議会議員、桃野よしふみです。
ニューヨークでテロ事件発生との報。
夕刊では各紙大きく取り扱っていました。
【NYテロ 9・11現場近く、車暴走…8人死亡 男を拘束】(毎日新聞)
アメリカ、ニューヨーク・マンハッタンで10月31日午後3時(日本時間1日午前4時)ごろ、小型トラックが自転車専用レーンに突っ込み、自転車利用者らを次々にはねた。8人が死亡。捜査当局は車を運転していた男の身柄を拘束。現地の報道によると、男はウズベキスタン出身の29歳で、犯行時にアラビア語で「アラー・アクバル(神は偉大なり)」と叫んだとの目撃証言を伝えている。単独犯とみられ、米連邦捜査局(FBI)などがテロ事件として動機・背景を調べている。
テロは、組織的か否かを問わず、暴力を行使して、政治的な目的を達成しようとする行為。「犯人が乗っていたトラックからは過激派組織「イスラム国」(IS)への忠誠を示す手書きのメモが見つかった」との報道もありますが、例えば「イスラム国を攻撃すれば、このように一般市民に被害が出るぞ」と米国を脅したという見方もあるわけです。(犯行の動機等を正しく知るには、今後の捜査を待たなければなりませんが)
政治的な主張の喧伝のための暴力であれば、その威力は大きければ大きいほど効果があると考えるのがテロリズム。テロリストは、相手により強い恐怖を与えることで、自らの主張を強く響かせようとするものです。
例えば、2001年9月11日にアメリカで起きた同時多発テロ事件(ワールドトレードセンターに航空機を突入させる等、4つのテロ事件)は、世界の多くの人々に悲しみ、恐怖、怒りを与えた事件ですが、当然、テロリストはその事件が世界中に与える衝撃を承知の上で事を起こしているはずです。(逆に言えば、誰にも気づかれずこっそりとダメージを与えるのはテロではないということ)
テロリストは、大きな被害を引き起こすことも重視しますから畢竟、(爆弾による)爆破、(乱射などの)銃撃、(武器を機内に持ち込んでの)ハイジャックなどの方法がこれまで繰り返されてきました。
しかし、近年目につくのは、今回ニューヨークで起きたような「自動車を暴走させてのテロ」。
爆弾や機関銃などは、多くの場合、それを所持するだけで罪に問われますので、「爆弾を準備している」という情報がテロ組織の外に漏れた段階で警察に捕まってしまう。
仮にテロ当日まで計画が秘密裏に進められたとしても、実行の直前段階で警察官の職務質問を受けるようなことがあれば、そこで事が露見し、テロが未然に防がれる可能性もあるわけです。
一方、自動車を使ったテロ。
テロリストが自動車を運転し、テロを起こそうとする現場に向かっていても、その段階では警察は手出しをできません。つまり警察組織によってテロ行為を未然に妨げられるリスクは小さい。
車に限らず「どこにでもある普通のもの」を使った犯行はテロに限らず、防ぐのが難しいのが実情です。
世界各国で起きるテロ事件を見たとき、我々日本人も決して「対岸の火事」などとは思わずに(テロではないが、2008年秋葉原の事件もあったし)、暴力から身を守る、社会を守るための仕組みをソフト(ルール)、ハード(インフラ)の面から考えなくてはならないと痛感します。
とはいえ、全ての自動車に、運転支援機能や自動運転機能が搭載されるようになれば、人に向かって暴走したり建物に突入したりできないようになるのかな。自動車メーカー各社には是非「人を殺さない車」の開発についても頑張ってもらいたい!
そうなれば、それも大きな方策だと思う。
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