DV被害から逃れ、経済的にも困窮している親子になぜ区は支援の手を差し伸べられなかったのか。
世田谷区議会議員、桃野よしふみです。
本日のブログも昨日の質疑よりご報告です。
桃野が取り上げたのは、これまでも議会で取り上げてきた「世田谷区のDV被害者への対応について」。
DV被害者Aさんは、加害者である夫の元を逃れ、収入の無い中(専業主婦だった)で、子どもと一緒に生活をしていかなければなりませんでした。DV被害者、特に主婦で往々にして起こるパターンですが、DVから逃れるために起こしたアクションの後に早々に訪れる窮地です。
Aさんは、区役所を訪問し、自分がDV 被害者であること、収入が無いこと、貯金を取り崩してなんとか生活していること、お子さんの生活などなど詳細に「生活支援課」というところで相談をしています。
区は、窮状にある区民の方を支援するために、様々な「福祉メニュー」を用意をしている一方、区民の方が「自分はどんな支援を受けられるか」を仔細に知らないのは当然のこと。Aさんも、自分の状況を説明した上で「何か支援してもらえる仕組みはありますか」と相談していました。
ところが、区は、児童手当や児童扶養手当、児童育成手当について誤って理解し、その誤った理解に基づいての案内をしていたばかりか、Aさんが支援対象に該当していたはずの「就学援助」(学費等に対して援助する仕組み)に至っては案内すらしていませんでした。
「なぜ案内しなかったのか」と桃野が議会で取り上げた際に区は以下のように答弁しています。
(平成29年6月14日、区議会本会議における桃野の一般質問に対する、寺林総合支所長の答弁)
・相談窓口では、親身で丁寧な対応を心がけており、その過程で、相談者が何に困り、何を求めていらっしゃるのかを感じ取り、その方に合った支援に努めているところでございます。
・就学援助は他所管が担当している制度でございますが、生活保護を受けている家庭、または経済的に就学が困難な家庭が対象で、世帯の所得制限があるものと認識しております。
・本事例の御相談におきましては、生活費について、ただいま申し上げた程度の困窮している旨の申し出は相談者からなく、また、相談を受ける過程でも特にその必要性が見受けられないと認識いたしましたので、積極的に制度の御案内はしておりません。
・なお、就学援助につきましては、担当所管課に確認いたしましたところ、学校を通して全ての保護者の方にチラシを配付して制度の御案内をしているところでございます。
この答弁をわかりやすく翻訳すると、以下のような感じになりますね。
・区の相談窓口では、困っている区民には、ものすごく優しく、かつ一つ一つビシッと的確に対応していますよ。
・就学援助についてはウチらの仕事じゃない。それに、この制度は経済的に相当困っている人だけが対象です。
・Aさんは、生活費についても困窮しているという話はなかったし、話を聞いている中でも就学援助の対象になりそうな話なんて出てなかったですから、こちらから案内するわけないでしょ。
・だいたい就学援助は学校でチラシ配ってるんだから、ここで案内しなくたって、自分で申請してこれるでしょ。
普通、困窮した区民が役所の「生活支援課」を訪れたら、せめて入り口の話ぐらいはワンストップで対応するべき。例えば「お子さんの学費等の支払いにも困るようでしたら、就学援助という仕組みがありますから、それについては◯◯課で相談してください」とか。
しかも、区が「ただいま申し上げた程度の困窮している旨の申し出は相談者からなかった」とのたまうので、桃野はAさんの許可を得て、区の相談記録を確認しました。すると、Aさんが「(専業主婦だったので)収入は無い」「貯金を崩してなんとか生活している」などの窮状をはっきり区の職員に伝え、区の職員はそれをきっちりと相談記録に記載されているじゃありませんか。
驚く。というか怒りがこみ上げますよね、やはり。
ということで、昨日の質疑ではこのあたりの経緯の続きとして「就学援助について、Aさんが本来支援を受けられた部分については救済するべきだ」という趣旨で取り上げました。
その際の答弁は、「就学援助や児童手当は(他の所管の事務なので)、それぞれの所管で判断することになります」です。
えー、まだそんなこと言っているの。タテワリ、お役所仕事。
役所の仕事の進め方については理解していますけど、今回失敗したのは「生活支援課」。
だったら生活支援課が中心となってAさんが救済されるよう動かないといけないんじゃないの。
まあ、そんなこんなでやり取りをし、持ち時間がわずかになってしまったんですが、最後の最後、副区長が少し、前向きな答弁をしてくれたので、とりあえずは良かったかなと思います。
あとは区長がどう判断するか。そこに注目したいと思います。
■質疑の様子は世田谷区議会のサイトからご覧いただけます。
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