プレーパーク事業。世田谷区は「やりがい搾取」などで委託先への支払いを低く抑えこんではいないか？
世田谷区議会議員、桃野よしふみです。
世田谷区議会は現在、定例会の会期中。昨日、桃野は一般質問を行いました。
今回のテーマは以下の４つ。
・DV(ドメスティック・バイオレンス)被害者への支援について
・プレーパークについて
・災害対策について（災害時の飲料水や生活用水に関する問題）
・区職員による区営住宅不正入居への区の対応について
今日から、順にブログでもご報告してまいります。
先ずは「プレーパーク」について。
プレーパークは、禁止事項をなるべくなくして、焚き火、穴掘り、木登りなど、子ども達が自由にのびのび遊べる場所。「自分の責任で自由に遊ぶ」をモットーにした遊び場です。
プレーパークは、1979年日本で初の常設プレーパークとして羽根木公園内で誕生し、現在は区内４箇所のプレーパークの他、いわばプレーパークの出前、プレーカー事業が平成20年にスタートするなど発展を続けています。
他の自治体などからも注目される事業で、毎年多くの外部団体が視察に訪れます。所管課に確認すると、昨年度は海外からも含め、行政機関、研究機関などによる視察が127件あったそう。世田谷区が国内外に誇れる事業の一つと言えますね。
さて、区長は平成29年3月23日の予算特別委員会で他会派から「子どもたちが放課後過ごす場を確保するための民間活力の導入」について考えを問われた際にこう答えています。
「民間学童は保護者負担が非常に大きい。民間活力という場合に、そういった企業系だけではなくて、非営利系もある。例えば住民運営型ということで言えばプレーパーク。数は限定されているが、これも放課後の遊び場になっていて、相当の子どもたちが来ている」
区長は「プレーパークはNPOや住民が運営しているので負担が小さい（費用が抑えられる）」と言いたかったのだと思いますが、そうした考えは「やりがい搾取」つまり「やりがい」を強く意識させ、その労働力を不当に安く利用する行為につながってはいないでしょうか。
区は平成25年度、プレーパークで働く「プレーワーカー」の人件費について、新ＢＯＰ指導員Ｂの単価を委託料算定の参考とし平成25年度、平成26年度の事業委託料を定めました。しかしその後、平成26年度から30年度まで、新ＢＯＰ指導員Ｂの報酬単価は上がり続けていますが、プレーワーカーの人件費についてはその委託料算定を全く引き上げていません。(新BOPは児童が放課後を過ごす場で、世田谷区立小学校の全校に設置されています）
平成30年度の新ＢＯＰ指導員Ｂの単価を、プレーワーカーの人件費に当てはめて計算した場合はいくらぐらいの差になるのか、所管課に確認したところ「現在のプレーワーカーセカンドステージ」の報酬月額216,000円に対し、当てはめ後で229,600円との答え。一月に13,400円の差、12ヶ月で16万円以上の差です。
国内外から注目されるプレーパーク事業です。その健全な成長のためには、働く人の報酬を適切なものにすることも不可欠でしょう。
今回、桃野の指摘に対して区は、
・区では地域の資源を活用しながら外遊びができる環境整備に力を入れており、プレーパークはその中核を担うものと考えている。
・プレーパーク事業は、運営を実質的に担い展開させてきたNPO法人に委託しているが、安定的・継続的な運営のためには、従事する人がやりがいと高いモチベーションを持って働くことができるようその処遇については重要であると認識している。
・平成25年度より、新BOP指導員Bの単価を委託料算定の参考とした。
・その後、委託料算定の参考とした数値については変更していない。
・今後は他の福祉分野の状況、新BOPに従事する指導員の単価などを参考にしながら、委託法人の意向も踏まえ、働く人にとってより良い環境になり、安定的に継続したプレーパークになるよう、運営改善に取り組んでいく。
こうした旨の答弁をしています。
役所の議会での答弁というのは非常に固い物言いなので、多くの方にはなかなか伝わりづらい部分もあるのですが、桃野の手ごたえとしては、担当所管（子ども・若者部、児童課）は、委託料算定を引き上げる方向で、財政部門（政策経営部、財政課）と協議を進めたいという姿勢だと受け止めました。
せっかく他自治体から注目を集める良い事業であっても、区が委託事業者に対し「やりがい搾取」などで、無理を強いるようなことがあってはなりません。引き続きプレーワーカーの報酬も含めて、プレーパーク事業の運営改善について注視をしていきます。
■一般質問の動画はこちらでご覧ください。
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